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健保担当者が押さえるべき法的・制度的ポイント ― 歯科検診導入の実務知識

歯科検診は健康経営の文脈で注目されていますが、法的には義務検診ではなく任意です。
そのため、健保や企業が導入する際には、法制度・個人情報保護・費用負担・運営体制といった複数の観点から整理する必要があります。
本記事では、導入時に押さえるべき重要ポイントを体系的に解説します。




1. 健康診断と歯科検診の法的位置づけ

現在の法制度では次のように区別されています:

  • 労働安全衛生法 第66条:年1回の一般定期健康診断(内科系中心)を義務化。
  • 歯科検診:法定義務ではなく任意。ただし学校歯科検診や妊婦検診、特殊歯科検診では実施が
    義務付けられている。
  • 健康増進法:事業者や自治体に国民の健康維持の努力義務を課しており、口腔ケアも重点施策に位置づけられている。

つまり、歯科検診は「義務ではないが国策として推奨されている分野」であり、企業や健保の主体的な導入が求められています。




2. 国の施策・将来の動向

  • 8020運動:80歳で20本以上の歯を残すことを目標とし、国民運動として推進。
  • 健康日本21(第二次):生活習慣病予防の柱に「口腔の健康」を明記。
  • 健康経営優良法人認定:歯科検診を導入している企業は評価の加点対象。


さらに、厚生労働省では「歯科検診の義務化」の議論も進んでおり、今後は企業・健保が積極的に関与すべき分野になると予想されます。




3. 個人情報保護とデータ活用

歯科検診結果は要配慮個人情報にあたり、特に慎重な取り扱いが必要です。

実務上の注意点

  • 個人結果は本人のみに通知し、企業には提供しない。
  • 集団的な統計データ(匿名化済み)のみを健保や企業で活用。
  • 委託業者との契約書に守秘義務・再委託禁止・漏洩時対応を明記する。


最近では、健保と企業が連携し、歯科検診データと医療費データを突合して施策効果を分析する取り組みも進んでいます。




4. 費用負担の考え方

歯科検診は任意のため、費用負担をどうするかが導入時の大きな論点です。
大体の基本的な費用は2,000~5,000円/人となります。

主なモデル

  • 企業全額負担:福利厚生費として扱い、社員は無料で受診。
  • 健保・企業の折半:健保財政と企業経費で折半し、社員負担をゼロに。
  • 一部社員負担:検診基本部分は企業・健保負担、追加検査は本人負担。


導入初年度は「企業負担」で試験的に実施し、翌年度から健保との共同運営に移行するケースが多いです。




5. 法的観点から見た導入プロセス

  1. 企画段階:目的(医療費削減、福利厚生、健康経営認定取得)を明確化。
  2. 規程整備:就業規則や福利厚生規程に「歯科検診」を明記。
  3. 委託契約:個人情報保護、損害賠償責任を含む契約を締結。
  4. 試験導入:特定部門・年齢層でパイロット実施。
  5. 本格導入:効果測定データを基に全社展開。




まとめ ― 制度理解と実務設計で失敗を防ぐ

歯科検診は法定義務ではないからこそ、導入時には法的根拠・制度設計・情報管理・費用負担を整理する必要があります。
適切な準備をすれば、健保・企業双方にとって医療費削減・ブランド向上・健康経営推進の成果が得られます。

株式会社マイ・ポジションでは、健保・企業向けに訪問型歯科検診サービスを提供し、法的観点を踏まえた導入支援も行っています。
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監修:株式会社マイ・ポジション
本記事は健保・企業総務向けに、歯科検診導入に関する法的・制度的ポイントを詳細に解説しています。

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